不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・10男性不妊

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③精子無力症・・精液検査で前進する精子が50%未満または高速で直進する精子が20%未満であると精子無力症と診断されます。一言で言えば元気な精子がそれほど存在していない状態のことです。

原因としては先天的、あるいは後天的な疾患等(おたふく風邪、前立腺炎、精巣の炎症)によって精子を作る機能が低下していることです。

ただこうした想定は正確さが非常に難しく、計り方やサンプルを採取した時間によっても左右されるもののようです。一部は外科的な療法によっても解決可能ですが、多くは薬物療法によっても解決が難しいようです。

④勃起障害(ED)・・いざ性交という時に十分に勃起しない、勃起した状態が続かない症状を勃起障害といいます。とはいえ全く勃起しないと人はさほど多くはなく、自慰は可能であるが性交渉になるとダメというパターンが多いようです。

「今日は妊娠可能な日」「今日でないと」とせかされてとたんに元気が無くなってしまう、というパターンです。というのが勃起は副交感神経を興奮して初めて可能になるものですから、水を差されると一気に萎えてしまうのです。

性交渉にはリラックスした環境が必要です。さらにED治療薬を処方される場合もあります。

 

 

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・09男性不妊

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以上は全て女性不妊ですが、もちろん男性側の要因も考慮しなければいけない場合も非常に多いのです。

むしろ近年不妊における男性側の問題に光が当たってきています。

WHO(世界保健機構)の不妊症原因調査では、男性のみに原因があるケース24%、女性のみ41%、男女とも24%、原因不明11%と報告されています。
不妊は女性の問題、というイメージは全くの誤りです。日本人男性でも過去30年間に10%の精子減少が認められており、とくに1990年以降、強い減少傾向があったそうです。

①乏精子症・・文字通り精子の数が少ない状態のことです。単に数を数えるのではなく濃度、運動率、奇形率を総合的に診断して判断されます。自然妊娠には4000万以上であることが望ましいとされています。乏精子症の原因には清索静脈瘤や造精機能障害等もありますがどんなに検査をしても原因がまったく判明しないことも多いようです。

②無精子症・・精液の中に精子が見あたらない状態このとです。精子があっても通路がふさがって排出されない閉塞性と精子そのものが作られていない非閉塞性があります。閉塞性は手術で解決可能なのですが問題は非閉塞性です。原因によっては薬物療法、外科的処置が有効な場合もありますが、これといった原因がない場合は治療法もないのが現状です。

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・08 頸管粘液

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そのほかに頸管性の不妊もあります。頸管粘液の正常が悪かったり正常に分泌されなかったりして起こります。

頸管粘液は、子宮頸管から分泌される粘液で精子を子宮へと運ぶという重要な役割を持った粘液です。通常の時期は粘り気があるのですが、排卵日付近になるとサラサラになって子宮頸部から子宮まで精子を運ぶ川のような状態となります。

膣内は常に「ばい菌」を増殖させないように酸性に保たれていますが、射精された精子は酸性を嫌います。しかしこの頸管粘液はアルカリ性ですから、精子の運動性を高めて受精能力を強める働きをしています。

この子宮頸管自体に問題が起こることがあります。子宮頚管内に、感染、炎症などのトラブルが起こっているのです。近年増えている「クラミジア」は子宮頸管に炎症を起こして、頸管粘液の性状を悪化させる原因となります。

子宮頸管自体には問題が無くとも何らかの原因で粘液が正常に分泌されない場合もあります。量が足りなくて粘液の働きを果たすことが出来ない。あるいは排卵期においても粘りけが強く、サラサラの川の流れのようにならない場合もやはり不妊の原因となります。

頸管性不妊は「子宮頸管」に問題があるわけですから、その部分をパスして精子を送り込んでしまう人工授精の場合はこうした問題を気にかける必要はありません。しかし自然妊娠を望む方には知っておいて頂きたい問題です。

 

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・07子宮内膜ポリープ

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・子宮内膜ポリープ・・ポリープとは粘膜から発育したイボを総称ですが、子宮内ポリープは内膜がきのこ状に発育したものであり、大きくなると子宮口の外まで出てくる場合もあります。

原因としては、「炎症や分娩、流産」からできる場合もありますが、ホルモン(エストロゲン)の影響からできる場合がほとんどと言われています。子宮内膜ポリープは良性の腫瘍であり癌に悪化することはほとんどありません。

 小さいもので1センチ以下から、大きいものでは10センチ以上になる場合もあります。超音波検査やMRIで子宮内膜ポリープが発見された場合、子宮鏡検査で詳しく見てみると、周りに小さなポリープがいくつも存在していることが多いようです。

 治療でポリープを摘出しても再発することもあります。これは原因である「エストロゲンの感受性」が改善されていなかったり、切除したときに根っこが残っていたりするのが理由です。受精が成立して受精が成立しても、子宮内膜に着床しないと妊娠には至りません。

 受精卵が子宮内膜にたどり着いたときに、子宮内膜ポリープが邪魔をして着床できないことがあります。(着床障害)小さな子宮内膜ポリープは1通りの不妊検査でも発見されないこともあり、原因不明不妊の理由として見落とされることも多いようです。また簡単なものであれば、子宮鏡検査と同時にポリープを切除することもあります。

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・07子宮形態異常

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・子宮形態異常・・・子宮形態異常とは何らかの理由で生来子宮の形が正常でないことをいいます。その全てが不妊と結びつくわけではありませんが、中隔子宮と双角子宮は比較的流産となる可能性が高いといわれています。

中隔子宮を外側から見ると形の異常はないのですが、内側から見ると子宮内腔を隔てる薄い壁があります。この壁に胚が着床しようとすると十分な血流が行かず、着床障害で不妊や初期流産の原因になるものと考えられています。

また、子宮を外側から見るとハートに見え、内側から見ると子宮頸管は一つですが、子宮の奥が二つに分かれて見える双角子宮は、初期の着床には問題があまりないとされています。しかし成長していく過程で流産になりやすいですし、また分娩時に胎児の胎位・胎勢に異常が起きやすいとされています。

中隔子宮や双角子宮でも、すべてのケースが不妊や習慣流産になるわけではありませんので、形成手術が必要かどうかは、既往妊娠の経過をみて慎重に判断されるようです。

以前は「子宮後屈」という病気がありました。子宮の角度が通常よりも背中側に傾いているというもので、月経痛が甚だしく、以前は不妊の原因とも考えられていたので手術をして治す、ということもされていました。昭和初期までの鍼灸の書物を読むと頻繁に出てくる病名です。しかし現在では子宮後屈が不妊の原因となることはないということが判明しており、特別な疾患として扱われることはなくなりました。

 

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・06子宮内膜炎

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・子宮内膜炎・・子宮内膜とは子宮の内側を覆っている粘膜のことで、その粘膜に細菌が感染して引き起こされた炎症です。全身的な症状は少なく、膿性帯下の増加、下腹部の不快感、熱感がおもな症状です。

・子宮腺筋症・・子宮腺筋症は、子宮内膜症の一つです。この子宮内膜症が子宮の柔らかい筋肉の中に発生すると、子宮が全体に硬く腫れてしまいます。これを子宮腺筋症といい、子宮内膜症の中でも特に月経痛が強くなるのが特徴です。

年齢的に30代後半の女性に多くみられますが、最近は20代であっても腺筋症になる女性が増えています。以前は、子宮以外にできる内膜症を外性子宮内膜症と呼び、子宮にできる腺筋症は内性子宮内膜症と呼んでいましたが、現在では独立した病名となっています。

このように、子宮腺筋症は子宮内膜症と同じような性質を持った病気です。子宮腺筋症も子宮内膜症も激しい月経痛や下腹痛、腰痛を起こすだけでなく、不妊症の原因にもなります。しかも大変治りにくい病気なのです。

さらに進行してゆく病気で、知らない間にじわりじわりと悪化し、最終的には月経以外にもほとんど毎日耐え難い痛みに悩まされるようになることもあります。(この疾患の名前は最近聞くようになりました。以前は子宮内膜炎として一括してカテゴライズされていた印象です。)

 

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・05子宮筋腫

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3.子宮因子の不妊

子宮の発育不良などによって、受精卵の移動や着床を阻害したり流産や早産を引き起こしたりもします。

・子宮筋腫・・子宮は平滑筋という柔らかい筋肉でできている臓器です。この近位区の一部がこぶになって発症する良性の腫瘍が子宮筋腫です。この疾患は40才の女性のおよそ30%にみられる、比較的多い種類の疾患です。発生する場所によって漿膜下子宮筋腫、筋層内子宮筋腫、粘膜下子宮筋腫があります。

子宮筋腫があるからといって即ち不妊症であるわけではありません。多くの女性は筋腫がありながら妊娠し出産に至っています。しかし種類や発症する部位によっては不妊の原因となり得ます。「粘膜下子宮筋腫」は子宮の中に発生しますので小さな筋腫であっても受精卵の着床を阻害し不妊症の原因となります。

「筋層内子宮筋腫」であっても、胎児が宿る子宮内腔を変形させるものであれあば受精卵の着床を妨げ、不妊症の原因となることがあります。そして卵管の直ぐ側で発症した筋腫も卵管を圧迫する可能性があり、不妊症の原因となるばあいがあります。

「漿膜下子宮筋腫」は一般的には不妊症の原因とはなりにくいのですが、大きすぎると卵巣や卵管の働きに悪影響を与えてしまい、不妊症の原因となることがあります。

 

 

 

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・04

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2,卵管障害

卵管とは卵巣と子宮を結ぶ管です。卵管漏斗は漏斗状の構造をしており、卵巣からの卵細胞を収容します。卵管膨大部は精子と卵子が受精する場所です。ここに到達した精子は数日間劣化せずに残留することが可能であるといわれています。卵管峡部受精卵を子宮へ運びます。ほとんどの哺乳類は卵管峡部を通過するのに4~5日かかり、着床までの初期胚の発生の場となります。卵管は内輪走筋層と外縦走筋層の収縮による蠕動運動によって精子の運搬を行います。

卵管障害とはこの卵管がつまっていたり癒着したりして、受精卵が通過出来なくなって不妊となるものです。現在では体外受精も広範に展開されています。原因には炎症が卵管に移行したものや細菌感染、性感染症(クラミジア感染症等)、子宮内膜炎、手術後の癒着などがあり、それらによって卵管が閉塞して不妊症となります。

不妊症原因の30%近いとも言われており、近年増え続けています。卵管障害の問題は、「受精卵が移動できずに受精、着床が出来にくい」ということだけではなく受精卵が卵管に着床してしまう「子宮外妊娠」を引き起こす可能性が高いことです。

自覚症状がない人も多いですが、色やにおいがついた「おりもの」が出たり、下腹部痛、発熱を起こして婦人科を受診して「卵管造影検査(卵管の通りを調べる検査)」で始めて分かる人が多いようです。

尚子宮卵管造影などの通気性を調べる検査は、卵管のつまりを改善させることがあります。(簡単なつまりや癒着は造影剤が流れる影響で治ることがあるのです。これは知っている方も多くて、効果を目的に造影剤検査を受ける、という話を聞くこともあります。)

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・03

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②黄体機能不全

そもそも黄体とは、卵巣で卵胞(らんぽう)が排卵したあとに変化してつくられる器官のことです。黄体は主にプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し、受精卵の子宮内膜への着床や妊娠の維持に重要な役割を果たしています。

つまり黄体は排卵後に子宮内膜を妊娠に適した状態に維持しておくという非常に重要な働きを持っているわけです。ですから黄体機能不全とは、妊娠するための体の準備が整わない事を意味します。不妊症の原因となっています。

黄体機能不全になると、以下のような所見が見られます。

・黄体期のプロゲステロン値が10mg/ml未満

・基礎体温の異常・・高温期が短い(10日未満)、高温期と低温期の差があまりない(0.3℃未満)、高温期の途中で低温へ落ち込む

・子宮内膜が薄い(8mm以下・子宮内膜と妊娠率には大きな関係があります。子宮内膜が厚ければ暑いほど、妊娠できる確率は高くなります。一般的には8mm以上が好ましいと言われているようです。ある研究報告では厚さが8mmの場合の妊娠率は53.1%だったのですが、16mmでは67.6%の人が妊娠するという結果になりました。また、出産に至った確率は、8mmの人の場合は、44.9%だったのに対して、16mmになると、67.6%に大幅アップしています。)

黄体機能不全の原因としては、下垂体ホルモンの異常、子宮・卵巣の異常などが考えられていますが、実際のところは解明されていません

しかし、この黄体機能不全も身体の冷えや精神的ストレス、自律神経のアンバランスなど、日ごろの生活パターンや体質が深く影響している場合が多く見られます。

 

不妊の要因となる疾患と中医学的な見方・02

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内分泌性のものは、主に視床下部ー下垂体ー卵巣におけるホルモン分泌異常が原因です。これには多膿疱性卵巣症候群(PCOS)や高プラロクチン血症などがありますが、とくにPCOSは多く、おそらく産婦人科の外来でもっともたくさん診る疾患といわれているようです。月経異常・肥満・多毛を特徴とするということになっていますが必ずしも当たっていないように見えます。痩せている人も結構見えますので。

その他甲状腺や副腎の機能障害も排卵障害を招きます。ある種の自己免疫性疾患(甲状線機能亢進症、Addison病、筋無力症など)をもつ人に多いことが知られています。とくに、自己免疫性疾患と早発卵巣不全との合併がよくみられることから、早発卵巣不全が卵巣に対する自己免疫性疾患である可能性が考えられています。

5〜40歳で無排卵となり、さらに無月経となります。原因によっては、もっと早期にそうなることがあります。 無月経になる前の段階として、月経周期が延長した稀発月経の期間があり、この段階ではすでに無排卵になっていることが多く、基礎体温は低温一相性(月経周期に高温期がなく、低温期のまま経過する)となっていることがほとんどです。