横浜泉堂鍼灸院の不妊症と鍼灸治療

  「鍼灸の治療をしてると妊娠しやすくなる」ということは古くからこの仕事に携わっている人間なら誰もが知っている

ことだと思います。ここ数年の「妊活ブーム」のなかで薬剤に頼らず妊娠のための体作りをする方法、高度不妊治療の成功率を上げる効果的な方法、として鍼灸が注目される様になってきました。一説にはアメリカのテレビドラマ「SEX AND THE CITY」の登場人物がドラマの中で不妊治療で鍼灸院へ通う場面があり、それをきっかけに多くの人が不妊に鍼灸が有効であることを知った(!)ともいわれています。

                                                                                                   
  

  


1.女性の治療
 泉堂鍼灸院では女性側の不妊には主に次の様な原因があると考えています。

1.肝虚証・・婦人科の働きが十分に滑らかに機能していない人のことです。生理のサイクルが不定期であったり、生理痛がある等の婦人科のトラブルに見舞われがちです。又肩がこったり頭痛がしたり足腰が冷えて辛いといった不定愁訴やイライラしたり気分の落ち込みがあったりする人が多いのもこのタイプです。
12経絡の内の「厥陰肝経」を中心とした治療をしていきます。





2.肝実瘀血証・・瘀血という古血の固まりがお腹の中にあり、そのため婦人科の働きが鈍くなっています。瘀血がある人はおへその周りから下が硬くなっています。表面から堅くなっていて指が1センチほども押し下げられない様な人もいます。瘀血があると生理痛が激烈になったり、子宮内膜炎や子宮筋腫といった慢性的な婦人科疾患を抱える事になる人もいます。
「厥陰肝経」や「少陽胆経」を中心に体を整えつつお腹や足のツボを使って瘀血を取り除いて柔らかいふかふかお腹を作る事を目指して治療していきます。





3.腎虚証・・腎は身体面での老化と深く関係しています。人は年齢と共に老化していきますが卵子の老化は意外と早いことが知られています。見た目は十分に若い女性でも30代半ば以降は妊娠する確率がガクンと落ちるのはそのためです。腎の力を強化することは、アンチエイジングにつながる重要な治療です。
またこのタイプの人は腰痛、足の冷え、むくみなどが多い傾向があります。
必ず「少陰腎経」を用いた治療をする必要があります。

( 腎の働きが良い人は年頃になれば性的にも十分に成熟し、妊娠をしやすい状態になりますがそうでない人はなかなか十分に成熟しません。こうした人は一見して年齢に似合わず幼い感じの容貌や生理の始まりの時期の極端な遅れ、しばしば生理が途切れる等の症状があります。こういうタイプの人にも腎虚の治療をする必要があります。)





4.脾虚証・・生来胃腸が弱くて体が虚弱な人の事です。胃腸に力がないので体も貧弱で筋肉に力がありません。胃下垂の場合もあり、下痢や便秘をしやすいです。冬になると風邪を引きやすく、一旦風邪を引くと長引いてなかなか本来の調子に戻りません。まずは胃腸の調子を整えて内臓全体の力を強める必要があります。
「太陰脾経」を中心とした治療をしていきます。




 如何ですか。ご自分に当てはることがあるのではないでしょうか?あるいはいくつも当てはまるという方もいるのではないでしょうか?そうです。こうした体質の問題は多くの人は二つ、或いは三つにまたがって持っているものです。
私達はその時々で一番大きな問題、又は手を付けられる問題から解決していきます。今はどの治療が出来るか?その診断を脈診で行い、痛くない優しい鍼で施術をしていく。それが漢方鍼治療です。

またこうした体質的な問題以外にも日々の仕事の忙しさや悩み事で疲れ、体調を崩して来院する方も多いのです。まずはおいしく食べて、ぐっすり寝て、しっかり毎月の生理を過ごせるようになること。妊娠という大きな変化に耐えられる健康な自分になったうえで吉報を待つ。それが鍼灸による不妊治療の王道なのです。



◎不育症


 不妊ではありませんが、妊娠初期での流産を繰り返し、出産継続に至れないという方もいます。手足が冷えて体力が無く、痩せていて腰回りも細い、といった方が典型的な不育症体質です。こうした場合も鍼灸の治療が可能と考えています。妊娠を継続する力は「腎」の力が深く関係しています。「少陰腎経」や妊娠のプロセスを導くといわれる「衝脈」を中心とした治療をしなければいけません。この治療は体質的な不育症の方と共に高齢出産を目指す方にも必要とされている治療だと思います。






2.男性の治療
原因は女性にだけあるわけではありません。特に自然なプロセスによる高齢出産を計画する際男性側の意欲不足は大きな障害になります。ある病院の不妊専門医は「(タイミングを取る回数が)月2回ではお話にならない」と仰っているようです。最も妊娠しやすい排卵日前に何回か続けてタイミングを取る事は自然妊娠による確率をあげる重要な条件です。鍼灸は男性機能の強化にも効果があります。

極端なEDは心理的な問題が作用していることもあり、鍼灸による施術は必ずしも効果的とは限りません。30~50代の男性で「年齢よりも弱い」という感じの方,或いは「月に1回がやっと」という方が「2.3回は出来る様に・・」という感じで効いてくる方が多い様です。



単にEDの改善にとどまらず精子の運動率や奇形率といった精子の質そのもの改善に迄至ることが各種の研究機関により報告されています。

例えばアメリカのバークレー生殖・女性の健康センター(Berkley Ceter Reproductive Wellness &Women’sHealth)での研究では鍼治療によって精子の生殖力の改善が報告されています。精子に問題のある男性40人をふたグループに分けて5週間にわたり片方のグループだけに週2回づつ鍼治療を行ったところ、鍼治療を受けたグループに有意に生殖力のある健康な精子の数が増えていることがわかったとの事です。
以前から中国や日本の医療機関ではこうした報告がなされていましたが、最近では欧米の研究機関でもこうした報告がなされる様になってきました。

男性も治療に通うことで「二人で協力していくのだ」という意識が高まりパートナーの女性も気が楽になる、という側面もあるように感じています。二人で治療に通われる方も結構おられますよ。